新たな素材の創生や材料の高機能化をもたらすマテリアル技術の開発は、ものづくり産業における“縁の下の力持ち“として、私たちの暮らしの発展に大きく貢献してきました。また、共通基盤技術であるマテリアルには、化学、バイオ、情報、医療、ロボット、建築、農業、土木、宇宙など、多様な分野との融合によって、新たな価値の創出や革新的な技術展開を生み出す無限の可能性が広がっています。本特別シンポジウムでは、各分野を牽引する研究者にご登壇いただき、それぞれの視点からマテリアルが描く無限の『未来』について語っていただきます。
| 第一部 | 特別講演 座長:産業技術総合研究所 副理事長 小原 春彦 司会:産業技術総合研究所 地域部 次長 益子 利和 |
| 16:00~ | 1.挨拶・趣旨説明 座長 小原 春彦 |
| 16:05~ | 2.革新材料が拓く産業の『未来』 産業技術総合研究所 上級執行役員 濱川 聡 |
| 16:20~ | 3.DX手法が拓く材料開発の『未来』 NIMS技術開発・共用部門 部門長 出村 雅彦 |
| 16:35~ | 4.食薬資源が拓くセルフケア時代の『未来』 筑波大学 生命環境系 教授 礒田 博子 |
| 16:50~ | 5.シルクが拓く新素材の『未来』 農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 絹糸昆虫う高度利用研究領域 新素材開発グループ グループ長 亀田 恒德 |
| 17:05~ | 6.複合材料が拓く航空・宇宙開発の『未来』 宇宙航空開発研究機構 経営企画部企画課 参事 平野 義鎭 |
| 17:20~ | |
| 第二部 | パネル討論 モデレーター:濱川 聡 パネラー:出村 雅彦、礒田 博子、亀田 恒德、平野 義鎭 |
マテリアルは日本の産業の柱であり、モビリティやAI、半導体、次世代電池など幅広い分野を支えています。本講演では、日常の製品や暮らしを支える材料から、過酷な条件に対応する極限材料まで、最新の開発事例を紹介します。併設コーナー「見て、触れて、体感するマテリアル」での産総研からの展示品にも触れながら、これらの材料がどのように社会課題の解決や新たな価値の創出に結びつくのかを解説します。

濱川 聡氏
産業技術総合研究所 上級執行役員講演者の略歴
名古屋大学大学院工学研究科結晶材料工学専攻博士課程後期修了(工学博士)。工業技術院物質工学工業技術研究所(現 国立研究開発法人産業技術総合研究所)入所、材料・化学領域長を経て2025年4月より現職。博士(工学)。UC Berkeley客員研究員 (2000-2001)。触媒化学、固体イオニクスが専門。これまでメタンや水素ガス等をエネルギー・資源として利用するための触媒システムの開発に従事。石油学会副会長。日本工学アカデミー会員。
材料は社会を支える基盤であり、その進歩は未来を切り拓く力となります。本講演では、デジタルトランスフォーメーション(DX)が材料開発にどのような可能性を広げるかを、NIMSでの事例を通して紹介します。航空機エンジンに使われる合金の設計や熱処理プロセスを題材に、信頼できるデータの大切さやAIと研究者が協力して新しい発想を生み出す可能性について共有したいと思います。全国の大学・公的機関と連携したマテリアルDXプラットフォームの挑戦を紹介し、AI時代の材料研究を展望します。

出村 雅彦氏
NIMS 技術開発・共用部門 部門長講演者の略歴
1995年東京大学大学院修士課程修了後、科学技術庁金属材料技術研究所(現NIMS)に入所。2003年博士(工学)(東京大学)。2014年-2015年、内閣府総合科学技術イノベーション会議事務局に出向。2015年-2017年、東京大学先端科学技術研究センター特任教授。2017年、NIMS統合型材料開発・情報基盤部門の副部門長、2020年から同部門長。2023年4月より技術開発・共用部門長。専門は構造材料。最近はデータ駆動研究を実施。
バイオアッセイ技術は生理活性物質の機能性評価に有用な手法であり、医薬品、機能性食品、化粧品の研究・開発において重要な役割を果たしています。これまで、伝承薬効を有する食薬資源をターゲットとし、多面的なバイオアッセイを行うことにより、新規化合物や新規機能性を見出してきました。本講演では、基礎から臨床研究までの一気通貫の食薬研究プラットフォームを用いた食薬ライブラリをご紹介します。

礒田 博子氏
筑波大学 生命環境系 教授講演者の略歴
筑波大学生命環境系 教授/地中海・北アフリカ研究センター長/テーラーメイドQOLプログラム開発研究センター長/産総研筑波大食薬資源工学OILラボ長、国際農林水産業研究センター監事を務める。専門は食品機能学、細胞生物学、天然物創薬。筑波大学卒業後、雪印乳業㈱研究職、筑波大学大学院、Cornell大学留学、筑波大学生物科学系研究員、国立環境研究所フェローを経て、2007年から筑波大学生命環境系教授。
シルクは明治以来、⽇本が世界をリードしてきた素材であり、その⾼い技術⼒と品質は近代産業の発展を⽀えてきました。⼀⽅、シルクは太陽と⽔、⼆酸化炭素で育つ葉を⾷べた⾍が作り出す持続可能な素材であり、資源枯渇や環境問題に直⾯する現代において最適なマテリアルといえます。さらに、シルクを⽣み出す昆⾍はカイコに限らず多様であり、その種類ごとに特性の異なる新素材を創出できる可能性を秘めています。本講演では、このようなシルクが拓く未来について紹介します。

亀田 恒德氏
農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門絹糸昆虫高度利用研究領域 新素材開発グループ グループ長
講演者の略歴
東京工業大学(現・東京科学大学)大学院理工学研究科高分子工学専攻博士課程修了(博士(工学))。米国ユタ州立大学博士研究員、東京農工大博士研究員を経て、農業生物資源研究所(現 国⽴研究開発法⼈農業・食品産業技術総合研究機構)入所。新機能素材研究開発ユニット長を経て2021年4月より現職。JST/JICA地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)ケニア養蚕プロジェクト チーフアドバイザー(2016–2021)、筑波大学グローバル教育院教授(2016–2024)。専門は高分子構造と物性の相関を基盤とした昆虫由来シルクの新素材化研究。これまで未利用であったシルクの社会実装に従事してきた。日本シルク学会副会長(2021–2023)
航空宇宙機において、性能だけでなく、環境負荷低減の観点からも、軽さと丈夫さの両立は常に追求し続ける必要のある課題です。本講演では、航空宇宙構造に炭素繊維強化複合材料(CFRP)を活用し、軽さと丈夫さの両立に取り組む例などを広くご紹介します。

平野 義鎭氏
宇宙航空開発研究機構 経営企画部企画課 参事講演者の略歴
2005年に東京工業大学大学院理工学研究科 機械物理工学専攻にて博士課程を修了後、宇宙航空研究開発機構に勤務。炭素繊維強化複合材料(CFRP)による航空宇宙構造の最適設計、AM製造、雷撃損傷等の研究に従事。2015年エアバス独社客員研究員を経て、2023年から現職。経営企画部企画課にて衛星政策等を担当。東京農工大学工学府機械システム工学専攻、および名古屋大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻にて客員教授を兼任。