会長挨拶・特別シンポジウム「情報による防災力強化」をYoutubeでオンライン配信。
2022年2月2日(水)で終了しました。ご視聴ありがとうございました。
情報技術の発展を背景に、判断や行動に結びつく情報を適切なタイミングにわかりやすい形で発信することが容易となった。他方、防災分野においても、平時の防災対策の充実や災害時の効果的な対応を目指し、様々な情報が流通されている。地域社会においては、これらの防災情報の速やかな取捨選択と活用を通じた適切な判断・行動が求められている。本シンポジウムでは、「情報による防災力強化」をテーマに、地域社会を構成する地域コミュニティ、小中学校、民間企業、基礎自治体等と防災科学技術研究所(防災科研)が協働して取り組んでいる防災情報を活用した防災対策・災害対応の研究事例や実態を紹介しつつ、地域防災力強化のために防災情報が果たすべき役割や期待等について議論する。
16:00~ | 開会の辞 防災科学技術研究所理事長 林 春男 |
第1部 特別講演 | |
16:05~ | 第1講演 防災科学情報を活用したICT×防災 李 泰榮 |
16:25~ | 第2講演 自治体・NPOによる情報ツールを活用した防災教育 ~ICTツール「YOU@RISK」を活用した防災”共”育の可能性~ 中野 雅嗣 |
16:45~ | 第3講演 防災科学技術研究所の情報プロダクツを活用した効果的な災害対応 取出 新吾 |
17:05~ | 第4講演 情報プロダクツを防災に活かした民間企業による取組 髙井 剛 |
第2部 パネル討論 | |
17:25~ | パネリスト:森 祐介、遠藤 隆光、第1部特別講演の講演者 モデレーター:林 春男 |
17:55~ | 閉会の辞 林 春男 |
地域の防災力を高めるためには、町内会や自主防災会などの防災活動や、学校の防災教育における科学的な防災情報の活用が重要である。防災科学技術研究所では、これらの地域コミュニティ自らが防災科学情報を活用した災害時の安全な行動の検討と判断を支援するICTツール「YOU@RISK」を研究開発している。本講演では、新潟県長岡市、茨城県つくば市で行った「YOU@RISK」を活用した防災教育の事例を紹介する。

李 泰榮(い てよん)氏
防災科学技術研究所 災害過程研究部門副部門長
講演者の略歴
福井大学大学院工学研究科システム設計工学専攻にて博士(工学)取得。2009年より、防災科学技術研究所に入所し、東日本大震災の被災地をはじめ、首都直下地震や南海トラフ巨大地震の想定地域などの地域コミュニティと協働しながら、防災活動や防災教育の現場に求められる情報システムとその活用手法の研究開発と社会実証に努めている。ほか、基礎自治体が取り組んでいる地域防災リーダー研修、防災大学講座、防災塾、防災教育教員研修などの講師を多数担当。
ふるさと未来創造堂は新潟県長岡市の全82小・中学校における防災教育支援を市より受託している。近年、洪水災害を題材とした学習支援ニーズが高まる中、ICTツール「YOU@RISK(ベータ版)」を活用したワークショップを試行実践し、見えてきた効果と課題、今後の可能性を紹介する。

中野 雅嗣(なかの まさつぐ)氏
NPO法人ふるさと未来創造堂常務理事兼事務局長
講演者の略歴
(公社)中越防災安全推進機構在籍時に、小・中学生を対象とした「新潟県防災教育プログラム制作事業」に携わり、災害から生きぬく力を育む防災教育についての研究及び実践を行った。平成27年3月にNPO法人ふるさと未来創造堂を設立。新潟県内を中心に年間200校以上の学校防災教育の総合的なサポートや教職員等の研修を行う傍ら、学校を核とした子どもも大人も皆が学び合う防災“共”育体制の構築に向けた研究・実践に取り組む。
防災に関する情報をユーザーの意思決定に役立つ形で防災科研が提供する「情報プロダクツ」について、『防災クロスビュー(https://xview.bosai.go.jp/)』や『I-SUTサイト』を例として、それを活用した自治体、関係省庁等の災害対応などを紹介予定。また防災科研の研究が実社会の防災力向上につながる共創の新しいしくみを紹介予定。

取出 新吾(とりで しんご)氏
防災科学技術研究所総合防災情報センター センター長補佐
講演者の略歴
青山学院大学院 理工学研究科 物理学専攻修士課程修了。インテル株式会社、茨城県広報監を経て2018年4月より現職。防災科研では情報プロダクツを活用した災害対応や企業との連携などを担当。
災害前には様々なハザードを確認でき、また、災害時にはリアルタイムで被害状況などを確認できる社内システム「災害情報共有システム」を紹介し、このシステム上で防災科研の情報プロダクツであるリアルタイムの気象データを活用して事業継続を図り、社会の防災力向上に貢献する企業の取組を紹介予定。

髙井 剛(たかい つよし)氏
鹿島建設株式会社 技術研究所 都市防災・風環境グループ BCP・リスクマネジメントチーム リーダー
講演者の略歴
東京都立大学大学院 工学研究科 建築学専攻修士課程修了。入社時から12年、設計・エンジニアリング総事業本部構造設計部において超高層建築物の構造設計、新架構の開発に従事。構造設計一級建築士。その後、同社技術研究所内で地震動・研究所建て替え計画・シンガポールオフィス開設など多様な業務に従事。現在は2018年に開設したBCP・リスクマネジメントチームのリーダー。

森 祐介(もり ゆうすけ)氏
つくば市 政策イノベーション部 部長パネリストの略歴
2011年文部科学省入省。内閣府、文部科学省で科学技術・イノべーションの推進や条約交渉、日中韓関係などに携わる。2012年、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了、博士(生命科学)。2015年より米国留学し、2016年ハーバードケネディスクールで行政学修士号を、2017年ハーバードメディカルスクールで生命倫理学修士号を取得。2019年6月より、つくば市・政策イノベーション部長として、市全体の経営戦略立案やスマートシティ化を担当。

遠藤 隆光(えんどう たかみつ)氏
茨城交通株式会社 常務取締役((一社)茨城県経営者協会 地域関係委員会委員)
パネリストの略歴
1995年明治大学商学部卒業。朝日監査法人(現あずさ監査法人)に入社し、上場企業等の法定監査、法的整理手続支援業務などに従事。2004年から株式会社産業再生機構にて事業計画立案、金融機関交渉などの事業再生支援業務に従事した後、2007年株式会社経営共創基盤(IGPI)の設立にあたり参画。2009年茨城交通株式会社の常務取締役に就任(現職)。公認会計士。
第1部特別講演の講演者4名

林 春男(はやし はるお)氏
防災科学技術研究所 理事長モデレーターの略歴
1951年東京都生まれ。1983年カリフォルニア大学ロスアンジェルス校Ph.D.。専門は社会心理学、危機管理。京都大学防災研究所教授を経て、2015年10月1日より現職。2013年9月防災功労者内閣総理大臣表彰受賞。
日本学術会議連携会員、内閣府・防災教育チャレンジプラン実行委員長、宇宙政策委員会・基本政策部会委員、外務省・科学技術外交推進会議委員等。「いのちを守る地震防災学」「しなやかな社会の挑戦」など著書多数。